2012年04月20日

都市伝説:友達だよな

 男2人、女2人の大学生四人が飲み会をしていた。

 4人とも高校時代から友達同士で、話題に事欠くことはなかった。

 話している内にだんだん盛り上がってきて、肝試しに行こうという話になった。

 車で来たため飲んでいなかった男が車を運転することになり、幽霊が出るというトンネルに向かった。

 トンネルの周りには歴史を感じさせるように、ツタが無数に生えていた。

 
 一同は車を降り、携帯電話で写真などを撮ってトンネルを散策した後、車へと戻った。

 しかし、全員が乗り込んだというのに、なかなか車は発進しない。


 運転席以外の三人は、「どうして出さないんだよー」「早く早く」など、からかい半分の文句の言い放題。

 普段は反撃する運転席の彼だったが、なぜか黙ったまま、かすかに震えている。

 そして、ゆっくり口を開いた。

「なあ……」

「え?」

「なあ……俺たちさ……友達だよな……」

 急に変なことを言い出すものだと三人は思ったが、特に気に留めず、当たり前じゃん! 友達だよ友達! と答えた。

「じゃあさ、俺の足元を見てくれないか……?」


 三人が彼の足元を覗き込むと、……の底から生えた二本の白い手が、彼の足をがっしりとつかんでいた。


 三人は、悲鳴を上げながら車を飛び出して逃げた。友達を見捨てて。

 落ち着きを出して取り戻した三人が車へ戻ってみると、彼の姿はなかった。

 
 どこに行ったのか探してみようと車の周りを探していると、ひとりが悲鳴を上げた。

 そこには全身ツタに絡まった彼の姿があった。


 これが都市伝説「友達だよな」です。

 この都市伝説の一番難しいところは、よりによって車を運転している彼だけが「酔っていない状態」にあるというところですね。

 ツタはアルコールを嫌うのでしょうか? とまあ、もっともらしい疑問は置いておきまして。


 この都市伝説も、有名であるとともに、類型の多い都市伝説でもあります。

 ある程度、著名である都市伝説というのは、口伝えあるいは広まる過程で類型が増えていくものです。

 ツタでないパターンも存在し、悪鬼のような形相で車の窓に顔を押し付けて倒れていた、というパターンもありますし、全員が閉じ込められるというパターンもあるようです。

 また、逆に白い手だと思っていたのが単なるツタだった、というトンネル環境の恐ろしさの方に主眼を置いた都市伝説というのもあります。


 特に幽霊ものの都市伝説は、微細な部分がいくらでも変わりやすいですね 
 

 


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Posted by 杉勝はさみ at 12:50│Comments(0)都市伝説
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