2012年05月07日
都市伝説:完全防備のフルフェイス
仲間同士でのツーリングの途中、一人の男がハンドル操作をあやまった。
曲がりきれず、走る勢いそのままに転倒して、頭からガードレールに激突した。
ものすごい勢いで激突したので、仲間は大慌てで男の下へと駆け寄った。
「いてえ。ま、大丈夫大丈夫」
男はおどけたような仕草でムクリと起き上がった。
そして、陽気に仲間に手を振った。
仲間たちは、男の無事に安堵した。
これといって大きな怪我もないようだ。
「おいおい、しっかりしろよ。バイクの方は大丈夫かー?」などと、冗談交じりに、仲間は男をからかった。
「わりわり。ちょっとハンドル操作ミスっちった。ちょっと頭痛いくらい」
ずるっ
男がフルフェイスのヘルメットを脱いだ瞬間仲間たちから悲鳴が上がった。
ヘルメットをとった瞬間、男の頭部はぐにゃりと崩れ落ち、遅れて、男の身体もその場に崩れ落ちた。
さっきの事故の衝撃で、男の頭部はぐちゃぐちゃになっており、ヘルメットのおかげでなんとか形を保っていたのだった。
これが都市伝説、完全防備のフルフェイスです。
よく、兜は完璧だったけれど、衝撃で脳震盪を引き起こした、という話がありますが、もっとバイオレンスになったバージョンがこれでしょう。
人間の身体の形というのは、確かなようでいて、非常に不安定なものです。
激しい衝撃で弾け飛ぶ分子結合のように、衝撃を受ければ細胞同士も引きはがれてしまいます。
そういう意味では、まさしく、衝撃の伝わり方そのものが、衝撃的といえるでしょう。
2012年04月20日
都市伝説:友達だよな
男2人、女2人の大学生四人が飲み会をしていた。
4人とも高校時代から友達同士で、話題に事欠くことはなかった。
話している内にだんだん盛り上がってきて、肝試しに行こうという話になった。
車で来たため飲んでいなかった男が車を運転することになり、幽霊が出るというトンネルに向かった。
トンネルの周りには歴史を感じさせるように、ツタが無数に生えていた。
一同は車を降り、携帯電話で写真などを撮ってトンネルを散策した後、車へと戻った。
しかし、全員が乗り込んだというのに、なかなか車は発進しない。
運転席以外の三人は、「どうして出さないんだよー」「早く早く」など、からかい半分の文句の言い放題。
普段は反撃する運転席の彼だったが、なぜか黙ったまま、かすかに震えている。
そして、ゆっくり口を開いた。
「なあ……」
「え?」
「なあ……俺たちさ……友達だよな……」
急に変なことを言い出すものだと三人は思ったが、特に気に留めず、当たり前じゃん! 友達だよ友達! と答えた。
「じゃあさ、俺の足元を見てくれないか……?」
三人が彼の足元を覗き込むと、……の底から生えた二本の白い手が、彼の足をがっしりとつかんでいた。
三人は、悲鳴を上げながら車を飛び出して逃げた。友達を見捨てて。
落ち着きを出して取り戻した三人が車へ戻ってみると、彼の姿はなかった。
どこに行ったのか探してみようと車の周りを探していると、ひとりが悲鳴を上げた。
そこには全身ツタに絡まった彼の姿があった。
これが都市伝説「友達だよな」です。
この都市伝説の一番難しいところは、よりによって車を運転している彼だけが「酔っていない状態」にあるというところですね。
ツタはアルコールを嫌うのでしょうか? とまあ、もっともらしい疑問は置いておきまして。
この都市伝説も、有名であるとともに、類型の多い都市伝説でもあります。
ある程度、著名である都市伝説というのは、口伝えあるいは広まる過程で類型が増えていくものです。
ツタでないパターンも存在し、悪鬼のような形相で車の窓に顔を押し付けて倒れていた、というパターンもありますし、全員が閉じ込められるというパターンもあるようです。
また、逆に白い手だと思っていたのが単なるツタだった、というトンネル環境の恐ろしさの方に主眼を置いた都市伝説というのもあります。
特に幽霊ものの都市伝説は、微細な部分がいくらでも変わりやすいですね
4人とも高校時代から友達同士で、話題に事欠くことはなかった。
話している内にだんだん盛り上がってきて、肝試しに行こうという話になった。
車で来たため飲んでいなかった男が車を運転することになり、幽霊が出るというトンネルに向かった。
トンネルの周りには歴史を感じさせるように、ツタが無数に生えていた。
一同は車を降り、携帯電話で写真などを撮ってトンネルを散策した後、車へと戻った。
しかし、全員が乗り込んだというのに、なかなか車は発進しない。
運転席以外の三人は、「どうして出さないんだよー」「早く早く」など、からかい半分の文句の言い放題。
普段は反撃する運転席の彼だったが、なぜか黙ったまま、かすかに震えている。
そして、ゆっくり口を開いた。
「なあ……」
「え?」
「なあ……俺たちさ……友達だよな……」
急に変なことを言い出すものだと三人は思ったが、特に気に留めず、当たり前じゃん! 友達だよ友達! と答えた。
「じゃあさ、俺の足元を見てくれないか……?」
三人が彼の足元を覗き込むと、……の底から生えた二本の白い手が、彼の足をがっしりとつかんでいた。
三人は、悲鳴を上げながら車を飛び出して逃げた。友達を見捨てて。
落ち着きを出して取り戻した三人が車へ戻ってみると、彼の姿はなかった。
どこに行ったのか探してみようと車の周りを探していると、ひとりが悲鳴を上げた。
そこには全身ツタに絡まった彼の姿があった。
これが都市伝説「友達だよな」です。
この都市伝説の一番難しいところは、よりによって車を運転している彼だけが「酔っていない状態」にあるというところですね。
ツタはアルコールを嫌うのでしょうか? とまあ、もっともらしい疑問は置いておきまして。
この都市伝説も、有名であるとともに、類型の多い都市伝説でもあります。
ある程度、著名である都市伝説というのは、口伝えあるいは広まる過程で類型が増えていくものです。
ツタでないパターンも存在し、悪鬼のような形相で車の窓に顔を押し付けて倒れていた、というパターンもありますし、全員が閉じ込められるというパターンもあるようです。
また、逆に白い手だと思っていたのが単なるツタだった、というトンネル環境の恐ろしさの方に主眼を置いた都市伝説というのもあります。
特に幽霊ものの都市伝説は、微細な部分がいくらでも変わりやすいですね
2012年04月12日
都市伝説:青い石のネックレス
ある日、Bさんは大学生の彼氏にプレゼントされたという青白い石のネックレスをAさんに見せてくれた。
その石は何の石かは判らないが、きらきらと輝いていて、とてもきれいであるように、Aさんにも見えた。
Bさんはその後彼氏とは別れてしまった。
しかし、Bさんは自分の好きだった彼は私に贈ってくれたものだから、とネックレスを大切に身に着けていた。
何日かして、Bさんが学校に来なくなった。
心配したAさんがお見舞いに行くと、Bさんは「金属アレルギーになっちゃって」と語った。
首元を見ると、ネックレスを着けている周りは赤くかぶれていて、所々皮膚がはがれているところもある。
学校にはそのうち来れるようになるだろう、とAさんは思っていた。
しかし、Bさんはそれから、学校には来なくなってしまった。
一ヶ月が過ぎたが、相変わらずBさんは学校に来ていない。
入院したとの噂もあり、AさんもBさんのことを心配していた。
その内、、Bさんからうちに来てほしいというメールがあり、Aさんはお見舞いに向かった。
そこには変わり果てたBさんの姿があった。
がりがりに痩せ細った身体。ほとんど抜け落ちた髪。皮膚の色も、どす黒く変色してしまっている。
そのあまりの変わりように、Aさんは驚きを隠せない。
立ち竦むAさんに、Bさんは「これを受け取って」と震える手でネックレスを渡した。
それから一ヶ月ほどたったある日、Bさんからうちに来てほしいというメールがあり、Aさんはお見舞いに向かった。
そこには変わり果てたBさんの姿があった。
がりがりになった体。ほとんど抜け落ちた髪。皮膚もどす黒く変色している。
驚いているAさんにBさんは「これを受け取って」と震える手でネックレスを渡した。
「もう私はいらないから」
Bさんは、その三日後に亡くなった。
ネックレスを託されたAさんは、ネックレスに不吉なもの感じ、知り合いの経営している宝石店にその宝石を預けて鑑定してもらうことにした。
Aさんは、翌日の早朝、宝石店のおばさんからの電話で叩き起こされることになる。
「こんなもの、どこで手に入れたの! この青白い石は、ウランの結晶よ!」
そう、Bさんは被爆して死んでしまったのだ。
これが都市伝説、青い石のネックレスです。
話の過程を追う限りでは、ありがちな呪われたネックレスと思いきや、ある意味もっと恐ろしい代物だった、というのが都市伝説です。
実際に、ウラン採掘場の近くで捨てられていた青い石を拾って被爆したという事件も起こっています。
また、宝石の真贋の鑑定に、放射線を用いることがあるのも、この都市伝説が広まった一因でしょう。
(宝石によっては、放射線をあてることで、色を変化させるものもあるのです)
もっとも、そうした場合、放射線の残留量は厳密に計測されているので、問題はないのですが、放射線残留のパターンの都市伝説もあるようです。