2012年01月26日

都市伝説:溶接

 とある工業高校での話です。

 
 その日は溶接の実習授業が行われていた。

 鉄を溶かして加工する溶接では温度が数千度に達し、温度は激しく上昇する。

 遮光マスクを外すと危険なのでやめましょう、と実習前に担当教員は口すっぱく注意をしていた。


 ある男子生徒が、したたる汗の不快さに耐えられなくなり、目を保護する遮光マスクを外してしまった。

 そしてその瞬間、彼は目の前で飛び散る溶接の火花を直接見てしまった。


 実習は無事に終わり、夜、寮に帰った彼はコンタクトをはずして眠りにつこうとした。

 しかし、いつもと違って、なかなかコンタクトが外れない。

 彼があせって力を込めると、コンタクトが手のひらに落ちた感触がした。

 だがその瞬間、視界が片方、すっぽりと暗闇に包まれてしまう。


 パニックになった彼は寮の友人に助けを求め、友人はすぐさま救急車を呼んだ。


 病院につくと、診察をした医者は、なんとも気の毒そうな表情となって、こういった。

「あなたの片方のコンタクトは角膜とくっついています。おそらく溶接を直接見てしまったときに、高熱によって角膜とコンタクトが癒着してしまったのです。もう片方の目も……」


 しばらく後、彼の視界は完全に失われてしまったという。



 この都市伝説は、日本溶接協会が「そんなことは一切ありません」というお触れを出すほど、有名になった都市伝説です。

 そう信じさせるだけの怖さと実感を伴っているのは、確かですね。

 


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Posted by 杉勝はさみ at 16:27│Comments(0)都市伝説
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